北大武道場2階、柔道場にはいつも通り佐久間の声が響いていた。
部室に入る、日曜に片付けたらしい。
誰のモノとも分からない柔道着その他衣服などは大方無くなっていた。
大量の漫画類もある程度並べられていた。
ほぼ変わらずに散らかっていたのはエロ漫画雑誌。
保管場所争いに負けたのか読みかけなのか、現役の誰かが持ってきたらしいがはてさて。
部室に持ってくる者には、大なり小なりその人のメッセージが籠もっていると思うのだが、あのエロ漫画雑誌にはどういった思いを載せているのだろうか。
練習後試しに読むと、「俺がこんな中学高校性活を送ってれば、今頃スケコマシになったろうに」「そして悠々自適のヒモとして人生を謳歌してたろう」と思った。
あれは別の自分を夢想して想像の幅を広げるためのツールだったのかもしれない。
道着に着替えて畳の上へ。
ケガ人たちも反復くらいまでなら何とかできるようになってきたみたい。
今のところで大怪我人は腰を患った町田だけか。
ヘルニアだったか、あれは確かにツラい。
僕も高校の時になった。
MRIを撮ると、背骨の隙間からにょろっと米粒がとび出していた。
こんな小さなもので、10分以上歩けなかったり、何をしていても腰が痛んだりするのかと驚いた。
北大に来てデッドリフト頑張ってたら治ったけど。
今となって思うのは、体も心もほんの小さなことで大きく変わるということ。
それがどこから齎されるのかは分からんが、兎に角何がしかのきっかけが機能すれば、ヒトは変わらざるを得ない。
出来るだけプラス方向へのきっかけでありたい、とは思うが実のところは分からん。
何もしないで余りものとして右往左往するよりかはマシだと思うので、行動しているだけ。
研究の時間では、1年目坂田に質問された。
「亀取の横付きに入った際に、相手(亀)の逆転技に対処できるパターンと、できずに後ろ袈裟に抑えられるパターンがあるが何故か?」
良い質問なので解答は敢えて濁した。
偶には良いだろう、いつまでも餌を待つ雛鳥にしておくのも勿体ない。
進んで獲ったり盗ったりしに来たらまた話は別だけど。
「誰かが答えを持ってるはず、ちょーだい」、まあネット見ればいい感じのが載ってることも多いからその思考もそこまで間違いじゃない。
正しく問えば、答えは自から湧き出してくる。
掘り起こしたり掬い取るためのツールとして知識があって、これは割かし共有できる。
練習後久々にケトルベルを振った。
振ったつもりが振り回されかけていた。
筋力低下とつながりの寸断が進んでいる。
鉄棒を振っても力を乗せられない。
唯一の救いは、久々にやってみた跳ね起きとハンドスプリングが成功したことくらい。
おわり。
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