2018年11月4日日曜日

走るなら夜が良い

昨晩、夜道を走ってきた。
何だか急に、走らねばならぬ気がしたから。
こう書くと、メロスにでもなったかのような気がするが、実のところはただの不審者である。


まずは職場まで。
いつも通る道のりを、ゆっくり目の速度で。
走り始めに感じた少しの寒気も、5分としないうちに消えた。
朝からの快晴具合は夜も続いており、星が良く見えた。
見えたと言っても、その数は随分と少ない、札幌は夜も明るい。
卒業旅行で行ったオーストラリアの、その郊外で見た満天の空を思い出した。
比べると、星々が街の灯に追いやられたようで何だかやるせなく思った。
そう思ったらイヤホンから流れる曲が変わった。
確かTHE ORAL CIGARETTESだった。
その前まではamazarashiだったから、鬱気味なやつからアップ目なものへと曲調が変わり、併せてもやもやとした気分も無くなった。

線路沿いを走って30分ほど、職場に着いた。
このくらいの時間なら、通勤にはちょうどいいだろう。
チャリが使えなくなったら走ろう、そう思った。
朝から満員の電車に乗るのは本当に気分が悪い。
唯一、読書の時間がとれることだけがメリットだが、デメリットの方が大きい。
体格の大きめな僕は他人様に迷惑をかけてしまうだろうし、僕自身も窮屈なのは好みじゃないので、列車は好きではない。

さて帰ろうか、そう思ったが何かしっくりこない。
もうちょっと走ることにした。
せっかくだから繁華街に突入してみよう、札幌の真ん中の方に向かった。
アウトドア用に持っているG-SHOCKの針は、確か22時過ぎを指していた。
自家用車もタクシーも、多くは僕と対向して、流れに逆らっている感が楽しい。
体も温まって、若干のランナーズハイに、走るペースも上げた。
耳の中ではアジカンやホルモンがかき鳴らされていた。

大通公園、テレビ塔あたりに着いた。
流石に人通りもそこそこ。
10人くらいか、道民よりも耐寒性の高そうな外套を着た年輩の方々は、きっと旅行中。
若いカップルも2組いた。
片方は灰色のパーカーを着た男と、キレイ目な格好でヒールを履いた女。
もう片方のカップルは、ネイビー調でまとめた服装で、マフラーは全くのお揃いだった。
4人とも細身で、入部当初の2年目藤田や1年目の片桐、千葉よりまだ細い。
叩けば骨は折れそうだし、頑張れば首もねじ切れるんじゃなかろうか、とか思った。
一応言っておくが、ふと思っただけでそんなことをするつもりはひと欠片もない。
ついでに言うと嫉妬でもない、そんな感情よりも有意義なものはいっぱいある。
ああ、そう言えば、その後ろにもう一組カップルがいた。
多少の白髪にスーツを着た中年のナイスミドルと、ビジカジでスタイルの良い若い女で、ははーんこれは不倫だな、と思った。
この時流れていたのはMaroon5。
視界の隅では、ダウンで全身を覆ったホームレスらしき男が、ベンチに荷物を括り付けて眠っていた。


もういいだろう、そう思って身を翻した。
帰りは往路と違う道を行こうと思い、方角だけを極めて適当に走った。
前方の空にはオリオン座、僕が唯一正しく覚えている星座が、幼少の頃よりも頼りなさげに光っていた。
初めて通る道を、よく分からないままに走り過ぎた。
人見知りな性格には人通りの少なさが、火照った体には秋風が丁度良く思えた。
そのうち知っている道に出たので、そこからは大人しく寮に向かった。
23時過ぎ、かれこれ90分くらい移動していたらしく、膝より下には結構な疲労感。
どうせなら上半身もちょっとは使っておくか、というわけで、寮の近くの公園で懸垂を10回だけ。
10回目はギリギリで、そこが限界だったのは、最近デブエットしていた成果か。
クールダウン用の曲群にして、中島みゆきや鬼束ちひろを聞きながら部屋に帰った。


そんなわけで、特に生産性のない突発事象も終了。
帰ってから気付いたが、夜中理由もなく走り出したくなるとか、思春期かよ。
まあ、軽く運動していると何故だか記憶が整理されていく。
思い出せなかった前の日の飲み会中の会話も、いくつか思い出した。
たまにはこんなのもいいでしょう、え?だめ?


おわり。

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